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IPPNWデリー大会
大田病院 中泉聡志
普段から私たち医療者が奮闘している人権を守り、幸せに暮らせる街づくりを目指す医療福祉活動を行っていますが、この立場と最も矛盾するのが戦争です。IPPNWは周囲の方の支援のおかげで3回目の参加となりましたが、私は日々の医療の実践として、日常的な平和活動を行っていきたいと思っています。。患者さんや地域の人々の生命と健康をまもるために、その土台となる“平和”をまもるのは、医師としてごく自然なことであると考えているからです。
自由市場主義のグローバル化に伴い、社会的、環境的に制約のない利潤追求によって、貧困・格差が拡大しています。そして、貧困・格差は人々を戦争や暴力に駆り立て、核兵器を生み出し、多くの市民を犠牲にしながら、一部の裕福な人々が支配するという構図が今も続いています。特に主催国のインドにおいては、核を持ち、税金を軍事費に投じている一方で、町中では貧しい家や爆発的な人口増加、子供にさえ物乞いをせざるを得ない貧困層の人たちが抜け出せずにいるという矛盾を抱えているのを目の当たりにしました。IT産業やインド式計算などで脚光を浴びる中、このような矛盾に対して、労働保健大臣が「貧しい人たちを救うために医療福祉にお金をかける」と発言していました。今後インドがどのような変化を遂げるのか注目したいと思います。
大会に参加して、言葉や文化が違ったり、年齢が違ったり、思想・信条の違いなど多くの相違点を持っていても、“平和”という一致点で、活動を続けることができると思いました。彼らの姿を見て、草の根活動の重要性と力を合わせることが大切であると感じました。そして世界から集まった多くの“平和”を願う人たちの想いは、世界中の人々の想いであると実感しました。そして、世界の各地で彼らによって行われている活動が周囲の人々を動かし、国をも動かし、そして世界を動かす力になっています。今後もより多くの人に自らが体験したことや想いを発信し、次世代に『核のない平和な世界』を引き継いでいきたいと思います。